センター紹介

センター長からのメッセージ

レジリエンス工学研究センター センター長 古田一雄



 これまで、確率論的リスク概念に基づくリスクマネジメントが、技術社会システムの安全性向上に大きく貢献してきました。しかし、技術社会システムの巨大化、複雑化や、科学技術と社会との相互連関の緊密化とともに、従来のリスクマネジメントの手法では不十分であることが次第に認識されるようになりました。特に、リーマンショックや東日本大震災を経験した今日、さまざまな分野でリスクマネジメントに関する新しい考え方が求められていると言っても過言ではありません。
 このような背景から、レジリエンスという概念が注目を集めるようになりました。レジリエンスとは、外乱やシステム内部の変動がシステムの全体機能に与える影響を吸収し、状態を平常に保つシステムの能力、あるいは、想定を超えるような外乱が加わった場合であっても機能を大きく損なわない、損なったとしても早期に機能回復できるシステムの能力を意味します。
レジリエンスは災害や危機への対応力といった意味ばかりでなく、長期にわたるゆっくりとした環境変化にも適応し、生存できるシステムの能力をも意味しています。したがって、変化する社会環境、経済環境の中で、企業がイノベーションを継続し、競争力を維持する能力もレジリエンスと考えることが出来ます。
 このようなレジリエンスを有するシステム実現のための学理と方法論に関する教育研究の拠点として、2013年(平成25年)4月に「レジリエンス工学研究センター」が設立されました。当センターは三部門の体制で、従来の静的なリスクマネジメントを超える新たなフレームワークを確立することによって、安全・安心社会の実現に貢献したいと考えています。


組織構成

古田一雄 教授

酒井幹夫 准教授


●技術社会システムの人間中心設計
●巨大複雑システムシミュレーション


レジリエンスに関る概念の体系化、レジリエンスの評価・可視化手法、レジリエンス実現のための要素技術の開発と、その統合化のための方法論の確立を目的に、レジリエンスの基礎数理、システム安全学、レジリエンス評価のための先端シミュレーション、システム保全学、レジリエンス情報学、レジリエンス人間工学などに関る研究と教育を行う。

藤井康正 教授

小宮山涼一 准教授


●エネルギーシステム・戦略分析
●リスク便益分析・数理的手法開発


自然災害、テロ攻撃、経済危機などの外乱に耐えるとともに、長期の世界経済環境の変化や気候変動などにも対応できるエネルギーシステムを実現することを目的に、エネルギーシステムのモデル化とシミュレーション、エネルギーと経済との連関分析、エネルギー戦略、新エネルギー技術の導入普及戦略、エネルギー技術評価などに関る研究と教育を行う。

元橋一之 教授

和泉潔  教授


●イノベーションシステム・投資リスク分析
●市場・金融システム分析と制度設計


災害時の事業継続と、緩やかな経済社会環境の変化にも適応して競争力の維持を可能とするようなビジネスの実現を目的に、グローバルビジネスにおけるさまざまなリスクの評価、イノベーションのための企業間協調の分析、グローバルサプライチェインのレジリエント化、金融やサービスシステムのレジリエント化などに関る研究と教育を行う。